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ビジネス書「極上三言」 【番外編】古文へのいざない【前編】
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【番外編】古文へのいざない【前編】
平家物語〈1〉 (岩波文庫)平家物語〈1〉 (岩波文庫)
(1999/07)
梶原 正昭山下 宏明

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以前から折に触れて僕が古典好きだってことを公言しているものの、その都度取り上げる文献って決まって「漢文」なんだよね。ちょっと思い出してもらったらわかるように、世のいわゆる「ビジネス書」に取り上げられる古典ってのも同じく「漢文」だ。大半が『孫子』、あとのほとんどが『論語』ってのが定番かな。僕は寡聞にして知らないけれど、『六韜』とか『戦国策』とか『十八史略』とかも結構ありそうだよね。

ともあれ、何でみ〜んな漢文なんだろう。ざっくり言うと、漢文は「評論」的で、古文は「小説」的だからってのがその理由なんだろうと思う。もちろん日本にもすぐれた評論がいくつかあるものの、やっぱ「小説」というジャンルにおいて日本の古文が頭抜けている。漢文と比べても、その質において圧倒的に優れている印象を僕は持ってるんだよね。たぶん僕の印象は、世の大多数の印象と一致しているんじゃないかな。

と、文学的価値がありすぎるがゆえに、ビジネス書においては顧みられることの少ない古文。今回は【番外編】でそんな古文のフレーズをいくつか引っ張ってきました。



●桃李の御よそほひ猶こまやかに、芙蓉の御かたちいまだ衰へさせ給はねども、翡翠の御かんざしつけても、何にかはせさせ給ふべきなれば、遂に御姿をかへさせ給ふ。憂き世を厭ひ、まことの道に入らせ給へども、御歎きはさらに尽きせず。(『平家物語』)
(桃やすもものようなご容姿が依然として美しく、蓮の花のようなご容貌はまだ衰えていらっしゃらないけれど、翡翠のかんざしをつけても、何ともなさりようがないので、とうとう尼になられた。この世をいとい、仏の道にお入りになったが、お嘆きはいっこうに尽きない)

→壇ノ浦の合戦で海に身を投じた建礼門院徳子だが、源氏に助けられ都で過ごしている。その境遇を描写した部分。「芙蓉」「翡翠」のきらびやかさが、かえって徳子の悲劇的な現在を際立たせてるよね。ぜひ声に出して読んでみましょう。何とも心地よいリズムの文章なんで。


●月もとく入りて、御前の燈籠の灯も昼のやうなるに、中将の君、かたちはいとど光るやうにて、柱に寄りゐて、もて悩みながら吹き出で給へる笛の音、雲の上まで澄みのぼるを、上を始めたてまつりて、候ふ人、すべて九重のうちの人、聞き驚き、涙を落とさぬはなし。(『狭衣物語』)
(月もすぐに沈んで、内裏の燈籠の灯も昼のように明るいので、中将の君は、お姿がいっそう光り輝くようで、柱に寄りかかって座っていて、困った様子ながらも吹き始めなさる笛の音が、雲の上まで澄んだ音色で昇ってゆくのを、帝をはじめそこに居合わせた殿上人や、すべての宮中の人は、笛の音を聞いて驚いて、感涙を流さない者はいない)

→中将が笛を吹くシーン。「笛の音」が「雲の上まで澄みのぼる」ってのがいいなあ。そんなすごい演奏じゃ、そりゃ聴衆はおいおい泣くのもよくわかる。

後半に続く!

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Comment

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昨日訪問した時は、酒を飲んだ後で、古文を読む気力がなかったのですが、今日、改めて読みました。
アドバイス通り、声を出して(小さくですが)読むと、確かになかなか良いものです。
西森憲司 | URL | 2008/12/05/Fri 14:34 [EDIT]
こんばんは!
平家物語ってのんびりとした貴族が作り出した
平安の文化と思ったら
なんと、鎌倉時代に作られた戦記ものだったんですね〜

祇園盛者の。。。から始まる冒頭部分のみしか知らない私にとって
中身の説明は楽しいです!
ことばを楽しむ文化っていいですよね〜

日本語はどんどん変化していきましたが
言葉のもつメロディっていいものですね〜
優希 | URL | 2008/12/05/Fri 17:45 [EDIT]
西森憲司さん、こんばんは
もともと音読してたものですからね。
考えてみりゃ、音読して心地良いのはあたりまえなのですが。
余談ですが、僕も「音読した時のリズム」を意識して文章を書くようにしています。
ドクエメット | URL | 2008/12/05/Fri 20:51 [EDIT]
優希さん、こんばんは
そうそう。
平家物語はあの冒頭部分があまりにも有名ですが、じっくり読むとすっごくふか〜い中身で考えさせられます。
ここに上げた箇所以外にも、全体的に無常観が漂っていて面白いですよ。お勧めです(ま、なかなか手に取る機会はないでしょうが)。
ドクエメット | URL | 2008/12/05/Fri 20:54 [EDIT]

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